脳神経外科専用オペ室Hyper scotのご紹介

皆様こんにちは。
最近急に冷え込んでまいりましたがいかがお過ごしでしょうか?

突然ですが今日は、当院にある脳神経外科専用手術室「ハイパースコットHyper scot」に関してご紹介します。
女子医大ならではの設備を紹介するのも良いかもと思って、実験的に書いています。

当院では以前から脳腫瘍摘出術において、覚醒下手術や術中MRIを使用した手術を行ってきました。
さらに、4年ほど前から、術中に腫瘍の場所をコンピュータがガイドする機能など、MRIに加えてさらに豪華な機能のついたハイテク手術室が出来上がり、特定の症例についてはその手術室で手術しています。
下に載せた写真の通りですね。

ちなみに脳腫瘍摘出術のそのお部屋の奥には、X線透視下で手術ができるハイブリッド室もあります。

この二つの手術室は繋がっていて、もしハイブリッド室での血管内治療中に開頭での手術に移行する必要が出てきた時にはスムーズに移行できるようになっています。
繋がっている手術室というのも珍しいですね。

さて、麻酔管理としてはどのような違いがあるでしょうか?

まずは覚醒下手術では手術進行に伴って、麻酔変わってきます。
皮膚や頭蓋骨、硬膜を操作する手技の間は痛みもあるのでしっかりと麻酔しますが、脳実質を操作する段階まで手術が進んでからは、患者さんとお話ができるように、麻酔を浅くし、気道確保のためのチューブも抜去して管理します。
後に、覚醒下での手術操作の必要がなくなれば、また麻酔を深めて全身麻酔に戻します。

MRIが作動する時には磁気をもつ物がそばにあってはいけないので、パソコンなどは全て一旦外に出し、ノイズを生じさせないようにバイタルモニターの配線も一旦すべて切ります。
MRI使用中は、専用の稼動できるモニターに切り替えたり、薬剤のシリンジポンプは、誤作動を起こさないように専用の箱に入れたりして対応します。
麻酔器もバッテリー駆動になるので、もしバッテリーがMRI中に切れた場合には手動で換気を行う必要があります。
災害時以外で、バッテリー駆動する麻酔器を見るのはレアかも…!?

以上、ハイパースコットの紹介でした。

産科麻酔 岡田先生の送別会

先日、産科麻酔を専門になさっている岡田尚子先生の送別会が開かれました。
岡田先生は、当院の産科麻酔(無痛分娩)をより良いものとするため、3年ほど前から、定期非常勤として当院にきてくださっていました。

今回、アメリカのオクラホマへ海外留学なさるため、それに伴って、女子医大の定期非常勤も離れるということになりました。

師事したい先生のもとで留学するため、交渉を重ね、念願の海外留学が叶ったそうで、本当におめでたいことです!

当院で岡田先生は、産科の先生任せの多かった無痛分娩を、麻酔科も深く関われるように変えて、より安全なより良い無痛分娩を提供できるようにご尽力くださいました。

そんな岡田先生が来れなくなってしまうのは、本当に寂しい限りです…でも、夢を叶えた岡田先生のことを心より応援しています!

今後は順天堂の角倉先生にバトンタッチする形となります。
岡田先生が高めてくださった当院の産科麻酔を、今後私たちが守っていけるように頑張ります。

(写真は撮影のため、一時的にマスクを外している方がおられます)

別れと出会いの季節

さて、いよいよ2023年度も下半期になりました。
もう半年も経過したという事実に、時の流れが早くて驚きます。
女子医大でも、9月10月の切り替えで多くの出会いと別れが訪れました。

臨床工学技士でperfusionistとして当院の心臓麻酔を支えてくださった加藤さん、20年間麻酔科医局の秘書としてご尽力してくださった平山さん、産科麻酔もペインクリニックも心臓麻酔も区域麻酔もできるオールマイティな福島先生…
長くご活躍くださった方々のご退職は、ぽっかり心に穴が空いてしまうような寂しさを感じさせます。

一方で、10月からは新たにタイ王国から、留学生の先生が来てくださいました。今度、中国からの留学生の先生も交えて、それぞれの麻酔管理の違いも学んでみたいですね。

みんなで最高の麻酔を目指して、日々研鑽して参ります。

第63回関東甲信越地方会

先月はじめの9月2日は、第63回日本麻酔科学会関東甲信越・東京支部合同学術集会(俗にいう地方会)が開催されました。

当院からは岡先生がペインクリニック領域での症例報告の演題を発表しました。
当科教授の長坂先生も「大成功!」と絶賛するほど、素敵な演題発表となったようです。

岡先生お疲れ様でした。

 

ESRA annual congress

今月はじめ、ESRA(European society of regional anesthesia and pain therapy:ヨーロッパ区域麻酔学会)の年次集会に参加してきました。

世界の区域麻酔学会が集まるworld congressでもあったため、いつもより大きい規模で開催されました。

ご高名な先生方による最新の論文を踏まえた講義や、どちらの方がより良い神経ブロックなのか公開討論会が開かれたり、「ご遺体にエコープローブを当て、プロフェッショナルな先生方の指導の元、目標の箇所に薬液を投与する」という、より実践的なワークショップも開催され、大変有意義な学会参加となりました。

実はESRAには区域麻酔の認定資格という制度があり、当院の准教授でいらっしゃる笹川先生は日本で初めてEDRAを取得した第一人者です。
笹川先生に続き、当院の区域麻酔の質を高めるため、当院からも複数名試験を受験しています。

EDRAのための試験は、part1(multiple choiceのCBT)とpart2(口頭試問、実技)に分かれています。
今回part1を当院から受験した3人は、いずれも合格しました。
来年度のpart2もうまくいくことを祈っています。

医局説明会

説明会

さて7月企画第二弾は医局説明会でした!
10名以上の参加者がいらっしゃってくださって、大盛況の医局説明会になりました。

医局説明会では、現在の女子医大麻酔科の研修制度や麻酔科としての働き方について、色々な観点からそれぞれの担当の先生より発表がありました。

元より有名な心臓麻酔はもちろん、無痛分娩をはじめとした産科麻酔、重症例に神経ブロックのみの管理も行うことのある区域麻酔、研修施設として認められているペインクリニック…などなど。

今年度からは鈴木康之先生に臨床教授として来ていただき、小児麻酔に関しても良い研修環境が整いました!
もちろん今まで取り組んできた勉強会や抄読会についても、引き続き頑張ります。

会の最後には、出産・育児といった、プライベートに関するワークライフバランスについても紹介いたしました。
女子医大の院内保育園はとても素敵な保育園なので、安心して働くことができて本当に助かります…。

医局説明会は終了しましたが、将来の研修先として当院について気になる先生がいらっしゃいましたら、病院見学などお待ちしております。
お考えの方は医局までご一報ください。
 

区域麻酔解剖学セミナー

ご無沙汰しております。
更新を失念しており失礼いたしました。

先月7月は大きなイベントが二つありましたので、まずは第一弾として区域麻酔(末梢神経ブロック)の解剖学セミナーに関して記載します。

例年女子医大の麻酔科では、解剖学教室の先生方のご協力のもと、学生さんの解剖実習と同時期にご遺体から医学知識を深める取り組みを行っています。

どんなに本で読んでも、どんなに3D構築された動画を見ても、実際のご遺体よりも多くの解剖学の情報は得られません。

今回は「TAVI(大動脈弁のカテーテル治療)の際の末梢神経ブロックについて」と、「上顎下顎の神経ブロックについて」がテーマとなりました。

上記について、それぞれ山本偉先生と瀧澤菜々先生にご講義いただき、その後解剖学教室に移動しました。

当初の予定では、超音波装置を解剖学教室の一室まで持っていき、エコー画像のイメージを掴みながら、解剖学的な理解を深めようと思っておりました…

が、あいにくの大雨でしたのでそれは叶いませんでした。

とはいえ、
解剖学教室の藤枝先生、本多先生をはじめとした先生方がご遺体を美しく解剖してくださっていて、表層から深層まで全てのviewがよく見えるようになっておりましたので、超音波がなくともわかりやすく、十分に大変有意義なセミナーになりました。

(実は私も予め、ご遺体を解剖させていただいていました。
しかし、当日行ったら、解剖学の先生方がさらに美しく解剖なさってくださっていて…プロフェッショナルの技術に感動しました。)

解剖学教室の先生方、ご遺体として私たちの医療の向上に協力してくださった皆様、企画の長坂先生と笹川先生およびご参加くださった先生方・学生さん達に心より感謝申し上げます。

医師になった今こそ、解剖学教室とのコラボは非常に有意義となります。
とはいえ、当院のように解剖学教室の先生方にご協力いただけることはとても珍しく貴重です。
来年度以降もこの企画を続けていけたらいいなと考えています。

4/15,16 区域麻酔学会

先月は大阪で区域麻酔学会が開催されました。
当院からも複数名ポスター発表を行いました。
コロナ禍でWeb発表が多かったため、対面でポスター発表を行うのははじめてという先生も多くいらっしゃいました。

川本先生もそのうちのひとりでいらっしゃいますが、ポスターを英語で堂々と発表なさっていて、はじめてとは思えない、とても素敵なご講演でした。

理事でいらっしゃる長坂教授は、人気の森本先生のご講演の座長を務めていらっしゃいました。

笹川准教授と瀧澤先生はインストラクターとしてご活躍されました。
発表も学会でのお仕事も、皆様お疲れ様でした。

2026年の区域麻酔学会は当院主催の予定です。
区域麻酔をもっと盛り上げていきたいなと思っています。

広木先生の送別会

本日は女子医大の小児麻酔を支えてくださった、小児麻酔のスペシャリストでいらっしゃる広木公一先生の最終勤務日でした。
今後は麻酔科業務から離れられるそうです。

広木先生は、穏やかなお人柄と豊富な経験と知識、卓越した手技で、麻酔科医はもちろん、小児外科の先生からの信頼も厚い先生で、小児麻酔領域でのレジェンドのような存在です。

女子医大の後期研修プログラムでは、原則として小児病院への出向期間がありますが、私自身は諸事情により小児病院へ出向しませんでした。そのため、小児麻酔に関しては一から十まで全て広木先生に教わりました。

私の尊敬する大好きな広木先生が麻酔科から離れてしまうことは本当に残念でなりませんが、丁寧で適切なご指導をずっと続けてくださったこと、心から感謝しています。

本当にありがとうございました。
何らかの機会を作って、また広木先生とお話ししたいと思っています。
早くコロナが完全に明けてほしいものです。

医学シュミレーション教育 in English

グランドラウンド

先週の金曜日の朝は、いつもと違う朝でした。
というのも、米国ハワイ大学のシュミレーション学SimTiki所長でいらっしゃるBen教授とJannet准教授が、女子医大にいらっしゃったからです。
現在同大学に留学中で、3月から女子医大に赴任される衛藤先生もいらっしゃってくださいました。
お三方を出迎えるように、晴れやかな朝でした。

ぎりぎり到着になってしまった私は、シュミレーションセンターに行く手前の道路で御三方に挨拶することとなってしまいましたが、拙い英語の私にも快くお話しくださって、in Englishということで感じていた不安感が減りました。

さて、到着したシュミレーションセンターでは、精密なお人形が用意されていました。
両側の橈骨動脈と大腿動脈は脈拍に応じて拍動しますし、聴診器を当てれば呼吸音と心拍動を感じることができます。
それらのバイタルに応じてモニターが表示されており、シュミレーションの経過に応じて、お人形のバイタルも変化していくという様子です。

Jannet先生の講義を受けた後、6人の参加者で敗血症患者の急性期対応に関するシナリオを行いました。
Ben先生のアシストと参加者の協力により、患者さん(お人形さん)はショックバイタルを離脱して、ある程度安定したバイタルまで至りました。

シュミレーション教育を効果的なものにするには、フィードバックが欠かせませんが、うまく英語で表現できない人(私含め)については、衛藤先生が翻訳をしてくださって、英語が苦手な人にも有意義な研修になりました。

ハワイ大学からお越しいただいた先生方、業者さんを含めシュミレーションセンターの運営に携わってくださった方々、朝早くに関わらずご参加くださった麻酔科の先生方と学生の皆様に、感謝申し上げます。