DAMハンズオンセミナー

今日は女子医大のシュミレーションセンターを利用して、DAM(difficult airway management)の講習会がありました。

聖マリアンナ医科大学の集中治療科中川雅史先生をお招きしてのセミナーでした。

  1日の講習会で、気道確保の理論と実践を幅広く学ぶことができました。
   頭頚部のシミュレーターを用いて、喉頭鏡、気管支鏡、ブジーなど、普段は使用する機会が少ないデバイスの使用法とコツを学びました。続いて行った、実際のシナリオに基づいたロールプレイでは、習得した技術をどのような思考のもとで適応するか学びました。手技の技術だけでなく、事前の計画や周囲との円滑なコミュニケーションなどのソフトスキルも安全な気道管理に重要であることを実感できました。またインタラクティブなシミュレーターを用いた演習だったため、臨場感があり、臨床さながらの緊張感を持って演習できました。
   最後に、ブタの喉頭を用いて輪状甲状靭帯切開による気道確保の方法を学びました。普段はなかなか実践の機会のない手技であり、とても貴重な練習の機会でした。
   DAM講習会を通じて、気道確保に関する自分の手札が何枚も増えたと感じました。いざというときに素早く冷静に対処し、患者さんの安全•救命に繋げられるよう、今日の内容を定期的に復習していこうと思います。

脊髄幹ブロックハンズオンセミナー

新年度が始まりました!
女子医大麻酔科では新たに4人の新入局員(内一人は専門医の助教の先生)を迎え、新たな春を迎えています。
加えて、関連病院から3人の先生が後期研修として出向してきてくれて、とてもフレッシュな雰囲気になりました。
楽しく麻酔を学んで、患者さんに還元していきたいですね。

さて、記事が遅くなりましたが、今年1月に行われた脊髄幹ブロックハンズオンセミナーについて記載します。

昨年と同じく、笹川先生が中心となってセミナーが行われました。
インストラクターは鈴木先生です。

笹川先生のご講義の後、硬膜外麻酔シュミレーターのお人形を使って、実際の針を使った硬膜外麻酔のシュミレーションを行いました。
隣のブースでは、アキュロというガイド付き超音波機器を使って、モデルさんの背中にエコーを当てる練習をしました。
アキュロは脊椎に当たると画面上に案内が表示され、目標の穿刺部位や穿刺角度の目安を知ることができます。
後輩も「これ欲しい!」と感動していました。

ハンズオンセミナーのあとはみんなで新年会を行いました。普段飲み会ではなかなかご一緒できないような、大御所の先生方もたくさん参加くださって、貴重な機会でした。

新年度も楽しく精進していきたいなと思っています。

ICAPS2024

新年明けましておめでとうございます。
すっかり医局員日記の記載がご無沙汰となってしまいました。
麻酔科の新年会や脊髄幹麻酔に関する、モデル人形を用いたハンズオンセミナーも開催されましたので追って記事にいたしますね。

さて、今回の内容は先日行われましたICAPS2024(International Conference on Anesthesia Patient Safety 2024:安全な麻酔のための国際会議2024)に関してです。
ICAPS2024とは、日米およびアジアの麻酔管理に関しての会議で、はじめて開催される会議でした。

なぜはじめての国際会議が日本開催なのかというと…実はアメリカの麻酔患者安全財団が昔から出している麻酔の安全管理の雑誌について、世界に先駆けて日本麻酔学会が日本語訳を発行したそうなのです。
その後様々な言語に翻訳されていき、いまは世界中に配信されています。
実は女子医大の麻酔科教授の長坂先生が委員長でした!

3日間にわたって様々な領域から、安全な麻酔に関わる講義が開催されました。

厚生労働省の方による医療政策のご説明から、外科医の先生の観点から安全に手術を行うにはどうしたら良いか、精神科医の先生による薬物使用者に関するご講義まで、幅広い観点から講演がありました。

もちろん麻酔科医の先生のご講義もあり、手術中の脳を含む神経機能についてや周術期の痛みの管理など…
麻酔科医自身のメンタルヘルスについての講義もあり、目から鱗でした。

驚いたのは、日英同時通訳のクオリティの高さです。私は英語の講義も多少内容を把握できますが、やはり日本語の講義の理解度には及びません。
でも、今回の会議は、耳に同時通訳のイヤホンをつけておけば、通訳さんがリアルタイムで通訳してくれました!
医学用語まできちんと通訳されていて感動しました。

先日は本当に有意義な会議に参加できました
長坂先生お疲れ様でした🍀

専門医試験合格おめでとう!

先日麻酔科専門医試験が終了しました。
当医局からの受験者はすべて合格という大変おめでたい結果となりました!

(本記事は専門医試験の受験生に書いていただいています)

今回は大学医局に所属しながらの試験対策(絶賛子育て中ママ医師)の振り返りをしようと思います。
専門医試験は、仕事も任されることが増える時期に、プライベートでも結婚出産など訪れるようなタイミングでやってきます。しっかりメリハリをつけて対策をしてこそ、合格に近づくと感じました。

さて、私の背景を簡単にお話ししますと、子供2人、夫はメジャー内科で拘束時間が長く、実の両親も仕事があってフルサポートは望めないような状況です。
2017年に専門研修を開始しましたが、途中で計2年間産休育休でのブランクを挟んでの受験でした。

時短勤務ですが、仕事以外の時間は送迎や家事および行事などで隙間の時間がほとんどない状態、どこに勉強の時間を挟むのかが最大の課題でありました。
時間がないのは皆同じだと思いますが、限られた時間で乗り切るポイントを挙げていきたいと思います。

1. iPadでの勉強
今はタブレット学習が当たり前となっていますが、私たちは分厚いクエスチョンバンクやイヤーノートで勉強してきたおそらく最後の世代に近いかなと思います。
勉強は紙派だよな〜と思いつつ、後輩たちがカッコよく勉強会のメモや教科書をiPadで管理しているのを見て、これは導入するしかないと重い腰を上げました。
これがやはり便利、重い教科書を持ち歩かずに済む、ガイドライン類も一気にPDF化してダウンロード、書き込み、スクショで切り貼り…一台持てば外出中の隙間時間や移動時間にパッと見る事ができ大変便利でした。
ただし、口頭試問の受付後は電子デバイス禁止なので、その30分くらいの最後の確認に使える書籍やメモは用意してくださいね。

2. 先人たちからのアドバイス
過去問は何年分解くか、買うべき参考書、口頭試問対策、神戸遠征のホテルetc...経験者が言うことはなるべく参考にしました。年度が近ければ近いほど、参考にした方が良いと思います。
こう言ったリアルな声を聞けるのも、毎年必ず受験者が複数いるような環境ならではと思いました。

3. 一緒に受ける仲間
一緒に受ける仲間も大切です。私の場合ブランクがあるので、心臓麻酔などから離れて時間が経っていて、一度リハビリを経てやっと一般麻酔に慣れてきたようなところもあります。
専門研修からストレートで来ている仲間たちは、自分よりもフレッシュな記憶と、勢いがあり、仕事や勉強にそれなりの時間が確保できるため、しっかり準備をして臨んでいます。
勉強を始めるタイミングや内容など、色々と話しながら背中を押してもらえました。

4. 合同の勉強会
関わりのある他大学とオンラインで行う口頭試問対策の勉強会に参加する事ができました。これが本当に役に立ちました。
朝の20〜30分を週に一回だけでなので、私のスケジュールにも無理はなく参加することが出来ました。
時には送迎中に公聴のみ、と言うこともありましたが、移動しながらでも耳からインプットできて良かったです。突然渡される課題に、自分の言葉で答えると言う練習がここで出来ていたので、口頭試問直前も落ち着いて準備出来ました。
同時期に受ける受験生たちが、どんなレベルでどこまで答えられるかもわかり、自分の何が足りないのか、明確になります。

5. 医局全体で応援してくれる
試験が近づいてくると、勉強に集中出来るように、忙しいながらも気配りをして頂けます。
口頭試問何が出るかな〜と一緒に予想したり、内容そのものはもちろん聞けませんが、試験委員や試験官をしている先生方に受験者のどういうポイントを見ているか、などを伺うこともできます。
こういった日々の症例や会話の中で、この患者さん問題にできそうなど、実臨床でやった事は記憶に残るなと思いました。
試験日の移動なども加味した症例づけなど、本当に周りのサポートをありがたく感じました。

たかが専門医試験、されど専門医試験。通過点ではありますが、やはり一つの区切りとなる目標の方も多いと思います。
国家試験以来の試験勉強、定期的に勉強していた頃より勉強の感覚も乏しく、時間も限られる状態でなかなかハードでしたが何とか乗り切る事ができました。

試験に向けて配慮してくださった方々、ご指導ならびにアドバイスを頂いた医局員のみなさまに感謝です。

写真は1人で乗れた新幹線の記念です。
同じ時期に受験した友人とご褒美何にするかを話していましたが、私にとってはもはや試験前後の誰にも邪魔されない時間がご褒美でした。子供がいるといつも時間に追われていたり、常に誰かを気にしていますが、1人で動く時間は勉強にも集中出来ました。

以上専門医試験の振り返りでした。

脳神経外科専用オペ室Hyper scotのご紹介

皆様こんにちは。
最近急に冷え込んでまいりましたがいかがお過ごしでしょうか?

突然ですが今日は、当院にある脳神経外科専用手術室「ハイパースコットHyper scot」に関してご紹介します。
女子医大ならではの設備を紹介するのも良いかもと思って、実験的に書いています。

当院では以前から脳腫瘍摘出術において、覚醒下手術や術中MRIを使用した手術を行ってきました。
さらに、4年ほど前から、術中に腫瘍の場所をコンピュータがガイドする機能など、MRIに加えてさらに豪華な機能のついたハイテク手術室が出来上がり、特定の症例についてはその手術室で手術しています。
下に載せた写真の通りですね。

ちなみに脳腫瘍摘出術のそのお部屋の奥には、X線透視下で手術ができるハイブリッド室もあります。

この二つの手術室は繋がっていて、もしハイブリッド室での血管内治療中に開頭での手術に移行する必要が出てきた時にはスムーズに移行できるようになっています。
繋がっている手術室というのも珍しいですね。

さて、麻酔管理としてはどのような違いがあるでしょうか?

まずは覚醒下手術では手術進行に伴って、麻酔変わってきます。
皮膚や頭蓋骨、硬膜を操作する手技の間は痛みもあるのでしっかりと麻酔しますが、脳実質を操作する段階まで手術が進んでからは、患者さんとお話ができるように、麻酔を浅くし、気道確保のためのチューブも抜去して管理します。
後に、覚醒下での手術操作の必要がなくなれば、また麻酔を深めて全身麻酔に戻します。

MRIが作動する時には磁気をもつ物がそばにあってはいけないので、パソコンなどは全て一旦外に出し、ノイズを生じさせないようにバイタルモニターの配線も一旦すべて切ります。
MRI使用中は、専用の稼動できるモニターに切り替えたり、薬剤のシリンジポンプは、誤作動を起こさないように専用の箱に入れたりして対応します。
麻酔器もバッテリー駆動になるので、もしバッテリーがMRI中に切れた場合には手動で換気を行う必要があります。
災害時以外で、バッテリー駆動する麻酔器を見るのはレアかも…!?

以上、ハイパースコットの紹介でした。

産科麻酔 岡田先生の送別会

先日、産科麻酔を専門になさっている岡田尚子先生の送別会が開かれました。
岡田先生は、当院の産科麻酔(無痛分娩)をより良いものとするため、3年ほど前から、定期非常勤として当院にきてくださっていました。

今回、アメリカのオクラホマへ海外留学なさるため、それに伴って、女子医大の定期非常勤も離れるということになりました。

師事したい先生のもとで留学するため、交渉を重ね、念願の海外留学が叶ったそうで、本当におめでたいことです!

当院で岡田先生は、産科の先生任せの多かった無痛分娩を、麻酔科も深く関われるように変えて、より安全なより良い無痛分娩を提供できるようにご尽力くださいました。

そんな岡田先生が来れなくなってしまうのは、本当に寂しい限りです…でも、夢を叶えた岡田先生のことを心より応援しています!

今後は順天堂の角倉先生にバトンタッチする形となります。
岡田先生が高めてくださった当院の産科麻酔を、今後私たちが守っていけるように頑張ります。

(写真は撮影のため、一時的にマスクを外している方がおられます)

別れと出会いの季節

さて、いよいよ2023年度も下半期になりました。
もう半年も経過したという事実に、時の流れが早くて驚きます。
女子医大でも、9月10月の切り替えで多くの出会いと別れが訪れました。

臨床工学技士でperfusionistとして当院の心臓麻酔を支えてくださった加藤さん、20年間麻酔科医局の秘書としてご尽力してくださった平山さん、産科麻酔もペインクリニックも心臓麻酔も区域麻酔もできるオールマイティな福島先生…
長くご活躍くださった方々のご退職は、ぽっかり心に穴が空いてしまうような寂しさを感じさせます。

一方で、10月からは新たにタイ王国から、留学生の先生が来てくださいました。今度、中国からの留学生の先生も交えて、それぞれの麻酔管理の違いも学んでみたいですね。

みんなで最高の麻酔を目指して、日々研鑽して参ります。

第63回関東甲信越地方会

先月はじめの9月2日は、第63回日本麻酔科学会関東甲信越・東京支部合同学術集会(俗にいう地方会)が開催されました。

当院からは岡先生がペインクリニック領域での症例報告の演題を発表しました。
当科教授の長坂先生も「大成功!」と絶賛するほど、素敵な演題発表となったようです。

岡先生お疲れ様でした。

 

ESRA annual congress

今月はじめ、ESRA(European society of regional anesthesia and pain therapy:ヨーロッパ区域麻酔学会)の年次集会に参加してきました。

世界の区域麻酔学会が集まるworld congressでもあったため、いつもより大きい規模で開催されました。

ご高名な先生方による最新の論文を踏まえた講義や、どちらの方がより良い神経ブロックなのか公開討論会が開かれたり、「ご遺体にエコープローブを当て、プロフェッショナルな先生方の指導の元、目標の箇所に薬液を投与する」という、より実践的なワークショップも開催され、大変有意義な学会参加となりました。

実はESRAには区域麻酔の認定資格という制度があり、当院の准教授でいらっしゃる笹川先生は日本で初めてEDRAを取得した第一人者です。
笹川先生に続き、当院の区域麻酔の質を高めるため、当院からも複数名試験を受験しています。

EDRAのための試験は、part1(multiple choiceのCBT)とpart2(口頭試問、実技)に分かれています。
今回part1を当院から受験した3人は、いずれも合格しました。
来年度のpart2もうまくいくことを祈っています。

医局説明会

説明会

さて7月企画第二弾は医局説明会でした!
10名以上の参加者がいらっしゃってくださって、大盛況の医局説明会になりました。

医局説明会では、現在の女子医大麻酔科の研修制度や麻酔科としての働き方について、色々な観点からそれぞれの担当の先生より発表がありました。

元より有名な心臓麻酔はもちろん、無痛分娩をはじめとした産科麻酔、重症例に神経ブロックのみの管理も行うことのある区域麻酔、研修施設として認められているペインクリニック…などなど。

今年度からは鈴木康之先生に臨床教授として来ていただき、小児麻酔に関しても良い研修環境が整いました!
もちろん今まで取り組んできた勉強会や抄読会についても、引き続き頑張ります。

会の最後には、出産・育児といった、プライベートに関するワークライフバランスについても紹介いたしました。
女子医大の院内保育園はとても素敵な保育園なので、安心して働くことができて本当に助かります…。

医局説明会は終了しましたが、将来の研修先として当院について気になる先生がいらっしゃいましたら、病院見学などお待ちしております。
お考えの方は医局までご一報ください。