ESRA annual congress

今月のはじめはヨーロッパ区域麻酔学会(ESRA)の年次集会が開催されました。ヨーロッパでは区域麻酔(神経ブロックや脊髄幹麻酔)が盛んです。
ESRAが発行しているRegional anesthesia and Pain medicineという雑誌は、区域麻酔に関して世界を代表する雑誌になっているほどです。

今回の開催地はチェコ共和国のプラハでした。
とてもヨーロッパらしい美しい街でした。

キャダバー(死体解剖)のワークショップや超音波のハンズオンセミナーも多く開催され、教えてくれるインストラクターの先生とも、参加者の海外の先生とも仲良くなれる機会がたくさんあります。

個人的には、ESRAの先生方は地位や年齢を問わずフレンドリーな方が多いなという印象です。

今年は日本からの参加者も多く、私がお会いできただけでも10人ほどの日本人が学会に参加しておりました。

ポスター発表はePoster形式で、発表会場のインテリアも相まって、近未来的でかっこいい雰囲気で行われました。
新しい知識を手に入れ、今後の診療に活かしていきたいです。

Basic of Anesthesia勉強会

ご無沙汰しております。
今年度ももうおよそ半分が終わったと思うと、時の流れの早さに驚きます。

さて今回の記事は、女子医大の麻酔科専攻医となったばかりの先生方を対象に、毎週開催している「Basic of Anesthesia」の勉強会を紹介します。

Millerの麻酔科学の本は、麻酔科専門医試験の参考図書ともなっている代表的な麻酔科の教科書ですが、その基礎編として「Basic of anesthesia」という本が発売されています。

麻酔科を専攻するにあたって必要な知識が網羅的に掲載されており、かつ英語に苦手意識を持たないように、こちらの本を基として勉強会を開いています。

朝の開催なので、長坂先生が持ってきてくださったパンの朝食付きです。

先日は鈴木真也先生がPOCUSについて教えてくださいましたので、そちらの写真を載せさせていただきます。
POCUSがトピックなので、実際に医局員の先生の身体にエコーを当て、使い方から読影の仕方まで学びました。

講義形式の日もあれば、このように実技形式の勉強会のこともあります。どのような形式で行うかは、教える上の先生の好みに依ります。

一年かけてあの分厚いBasicの全てを読み切った時には、大きな満足感です!
若い専攻医のみなさま、あと半年ファイトです!

医局説明会

先日は女子医大の医局説明会が開かれました。
なんと11名もの初期研修の先生が参加してくださいました!

去年と同じく、ラストリカートというイタリア料理屋さんで、フルコースのランチを楽しみながらの説明会です。
医局自体や専門医プログラムの説明からはじまり、産科麻酔心臓麻酔区域麻酔ペインなどの専門性のある分野のご案内、留学やワークライフバランスに至るまで、各々の担当の先生がプレゼンを行っていきます。

心臓麻酔の土井先生は、昔(10年くらい前?)の女子医大の心臓麻酔のプロモーションビデオを見せてくださって、初期研修医の方のみならず医局員としても楽しく拝見しました。

区域麻酔の加賀屋先生は、ガンダムをモチーフに、プレゼンのスライドの中に麻酔科医にちなんだ替え歌を作って披露しました。

他の先生のプレゼンも魅力的なプレゼンがたくさんでした!

来年度から一緒に働く先生を心待ちにしています。

神経ブロック解剖学セミナー

昨日は当院の解剖学教室のご協力のもと、神経ブロックセミナーが開催されました。

神経ブロックは解剖学の理解の上に成り立っている手技です。ご遺体から3Dで解剖学を学べる機会は本当に貴重な機会です。

一年に一度開催され、今年で4回目となりましたが、例年通り大盛況となりました。
今年は上肢と下肢、体幹部(傍脊椎ブロックなどの背側からのブロック)のトピックでした。

神経ブロック手技のみならず、合併症がなぜ起こるのかについても解剖から学べることはたくさんありました。
この経験を日々の臨床に活かしていきたいと思います。

日本麻酔科学会第71回学術集会

こんにちは!

日本麻酔科学会の第71回学術集会に参加してきました!
6月6日から8日までの3日間充実した日になりました。

私(専攻医1年)は初めて参加したので、右も左も分からないまま、上級医の先生方に「とにかく雰囲気とか色々見ておいで、きっと楽しいよ」とアドバイスをもらえたので
セミナーに参加したり、新しい麻酔機材に興奮したり、とても刺激的な3日間となりました。

セミナーでは、特に術後急性腎障害予防のための基礎知識が印象的で
血圧管理の大切さや、改めて全身管理の難しさを勉強させてもらえました。

また先輩上級医のポスター発表を見ながら、私も来年ここで発表できるように頑張ろうと思いました。

夜は歓迎会を開いていただき、大学医局員は多いので普段はなかなか話すことのできない先生達とも話すことができ、苦手な手技などもお酒を酌み交わしながらアドバイスをいただき、
やはり東京女子医大に入局して良かったなぁ。と、しみじみとした気持ちになりました。

まだまだ毎日の業務でいっぱいいっぱいですが、新しい目標に向けて努力していきたいと思います。

日本区域麻酔学会

さて、先月は日本区域麻酔学会が開催されました。
今回の開催は仙台でした。ちょうど満開の桜が私たちを出迎えてくれて、美しい景色を楽しむこともできました。

本学会では加賀屋先生がポスター発表、笹川先生が海外での区域麻酔に関するご講演を行いました。お二方は神経ブロックのインストラクターとしても活動なさいました。

また、現地の講演ではありませんが、オンデマンドでは笹川先生と鈴木康之先生がご講演なさっております。ぜひオンラインの講演も聞いてみてください。
どの講演も興味深く楽しいものでした。

私(ブログ担当者)は区域麻酔が大好きなので、区域麻酔学会では聴きたい講演がたくさんあって、共に過ごしてお話を聞きたい先生方もたくさんいて、最も充実した学会です。
サブスペシャリティの学会は特化しているからこそ、自分の興味のある分野だと楽しみが倍増です!

このブログを読んでくださる新米麻酔科医の先生方には、どの分野が好きになるかはまだ分からないと思います。だからこそ、ぜひ色々なサブスペシャリティに関する学会に顔を出してみてください。
ご自分の興味に合う学会を見つけられれば、麻酔科医人生がより楽しいものになるのではないかと思います。

実は、再来年(次の次)の区域麻酔学会は女子医大が主催です!理事でいらっしゃる長坂先生と、日本の区域麻酔を牽引する笹川先生が構想を練っています。
本当に楽しみです。

2026年の区域麻酔学会、ぜひご参加くださいね。

DAMハンズオンセミナー

今日は女子医大のシュミレーションセンターを利用して、DAM(difficult airway management)の講習会がありました。

聖マリアンナ医科大学の集中治療科中川雅史先生をお招きしてのセミナーでした。

  1日の講習会で、気道確保の理論と実践を幅広く学ぶことができました。
   頭頚部のシミュレーターを用いて、喉頭鏡、気管支鏡、ブジーなど、普段は使用する機会が少ないデバイスの使用法とコツを学びました。続いて行った、実際のシナリオに基づいたロールプレイでは、習得した技術をどのような思考のもとで適応するか学びました。手技の技術だけでなく、事前の計画や周囲との円滑なコミュニケーションなどのソフトスキルも安全な気道管理に重要であることを実感できました。またインタラクティブなシミュレーターを用いた演習だったため、臨場感があり、臨床さながらの緊張感を持って演習できました。
   最後に、ブタの喉頭を用いて輪状甲状靭帯切開による気道確保の方法を学びました。普段はなかなか実践の機会のない手技であり、とても貴重な練習の機会でした。
   DAM講習会を通じて、気道確保に関する自分の手札が何枚も増えたと感じました。いざというときに素早く冷静に対処し、患者さんの安全•救命に繋げられるよう、今日の内容を定期的に復習していこうと思います。

脊髄幹ブロックハンズオンセミナー

新年度が始まりました!
女子医大麻酔科では新たに4人の新入局員(内一人は専門医の助教の先生)を迎え、新たな春を迎えています。
加えて、関連病院から3人の先生が後期研修として出向してきてくれて、とてもフレッシュな雰囲気になりました。
楽しく麻酔を学んで、患者さんに還元していきたいですね。

さて、記事が遅くなりましたが、今年1月に行われた脊髄幹ブロックハンズオンセミナーについて記載します。

昨年と同じく、笹川先生が中心となってセミナーが行われました。
インストラクターは鈴木先生です。

笹川先生のご講義の後、硬膜外麻酔シュミレーターのお人形を使って、実際の針を使った硬膜外麻酔のシュミレーションを行いました。
隣のブースでは、アキュロというガイド付き超音波機器を使って、モデルさんの背中にエコーを当てる練習をしました。
アキュロは脊椎に当たると画面上に案内が表示され、目標の穿刺部位や穿刺角度の目安を知ることができます。
後輩も「これ欲しい!」と感動していました。

ハンズオンセミナーのあとはみんなで新年会を行いました。普段飲み会ではなかなかご一緒できないような、大御所の先生方もたくさん参加くださって、貴重な機会でした。

新年度も楽しく精進していきたいなと思っています。

ICAPS2024

新年明けましておめでとうございます。
すっかり医局員日記の記載がご無沙汰となってしまいました。
麻酔科の新年会や脊髄幹麻酔に関する、モデル人形を用いたハンズオンセミナーも開催されましたので追って記事にいたしますね。

さて、今回の内容は先日行われましたICAPS2024(International Conference on Anesthesia Patient Safety 2024:安全な麻酔のための国際会議2024)に関してです。
ICAPS2024とは、日米およびアジアの麻酔管理に関しての会議で、はじめて開催される会議でした。

なぜはじめての国際会議が日本開催なのかというと…実はアメリカの麻酔患者安全財団が昔から出している麻酔の安全管理の雑誌について、世界に先駆けて日本麻酔学会が日本語訳を発行したそうなのです。
その後様々な言語に翻訳されていき、いまは世界中に配信されています。
実は女子医大の麻酔科教授の長坂先生が委員長でした!

3日間にわたって様々な領域から、安全な麻酔に関わる講義が開催されました。

厚生労働省の方による医療政策のご説明から、外科医の先生の観点から安全に手術を行うにはどうしたら良いか、精神科医の先生による薬物使用者に関するご講義まで、幅広い観点から講演がありました。

もちろん麻酔科医の先生のご講義もあり、手術中の脳を含む神経機能についてや周術期の痛みの管理など…
麻酔科医自身のメンタルヘルスについての講義もあり、目から鱗でした。

驚いたのは、日英同時通訳のクオリティの高さです。私は英語の講義も多少内容を把握できますが、やはり日本語の講義の理解度には及びません。
でも、今回の会議は、耳に同時通訳のイヤホンをつけておけば、通訳さんがリアルタイムで通訳してくれました!
医学用語まできちんと通訳されていて感動しました。

先日は本当に有意義な会議に参加できました
長坂先生お疲れ様でした🍀

専門医試験合格おめでとう!

先日麻酔科専門医試験が終了しました。
当医局からの受験者はすべて合格という大変おめでたい結果となりました!

(本記事は専門医試験の受験生に書いていただいています)

今回は大学医局に所属しながらの試験対策(絶賛子育て中ママ医師)の振り返りをしようと思います。
専門医試験は、仕事も任されることが増える時期に、プライベートでも結婚出産など訪れるようなタイミングでやってきます。しっかりメリハリをつけて対策をしてこそ、合格に近づくと感じました。

さて、私の背景を簡単にお話ししますと、子供2人、夫はメジャー内科で拘束時間が長く、実の両親も仕事があってフルサポートは望めないような状況です。
2017年に専門研修を開始しましたが、途中で計2年間産休育休でのブランクを挟んでの受験でした。

時短勤務ですが、仕事以外の時間は送迎や家事および行事などで隙間の時間がほとんどない状態、どこに勉強の時間を挟むのかが最大の課題でありました。
時間がないのは皆同じだと思いますが、限られた時間で乗り切るポイントを挙げていきたいと思います。

1. iPadでの勉強
今はタブレット学習が当たり前となっていますが、私たちは分厚いクエスチョンバンクやイヤーノートで勉強してきたおそらく最後の世代に近いかなと思います。
勉強は紙派だよな〜と思いつつ、後輩たちがカッコよく勉強会のメモや教科書をiPadで管理しているのを見て、これは導入するしかないと重い腰を上げました。
これがやはり便利、重い教科書を持ち歩かずに済む、ガイドライン類も一気にPDF化してダウンロード、書き込み、スクショで切り貼り…一台持てば外出中の隙間時間や移動時間にパッと見る事ができ大変便利でした。
ただし、口頭試問の受付後は電子デバイス禁止なので、その30分くらいの最後の確認に使える書籍やメモは用意してくださいね。

2. 先人たちからのアドバイス
過去問は何年分解くか、買うべき参考書、口頭試問対策、神戸遠征のホテルetc...経験者が言うことはなるべく参考にしました。年度が近ければ近いほど、参考にした方が良いと思います。
こう言ったリアルな声を聞けるのも、毎年必ず受験者が複数いるような環境ならではと思いました。

3. 一緒に受ける仲間
一緒に受ける仲間も大切です。私の場合ブランクがあるので、心臓麻酔などから離れて時間が経っていて、一度リハビリを経てやっと一般麻酔に慣れてきたようなところもあります。
専門研修からストレートで来ている仲間たちは、自分よりもフレッシュな記憶と、勢いがあり、仕事や勉強にそれなりの時間が確保できるため、しっかり準備をして臨んでいます。
勉強を始めるタイミングや内容など、色々と話しながら背中を押してもらえました。

4. 合同の勉強会
関わりのある他大学とオンラインで行う口頭試問対策の勉強会に参加する事ができました。これが本当に役に立ちました。
朝の20〜30分を週に一回だけでなので、私のスケジュールにも無理はなく参加することが出来ました。
時には送迎中に公聴のみ、と言うこともありましたが、移動しながらでも耳からインプットできて良かったです。突然渡される課題に、自分の言葉で答えると言う練習がここで出来ていたので、口頭試問直前も落ち着いて準備出来ました。
同時期に受ける受験生たちが、どんなレベルでどこまで答えられるかもわかり、自分の何が足りないのか、明確になります。

5. 医局全体で応援してくれる
試験が近づいてくると、勉強に集中出来るように、忙しいながらも気配りをして頂けます。
口頭試問何が出るかな〜と一緒に予想したり、内容そのものはもちろん聞けませんが、試験委員や試験官をしている先生方に受験者のどういうポイントを見ているか、などを伺うこともできます。
こういった日々の症例や会話の中で、この患者さん問題にできそうなど、実臨床でやった事は記憶に残るなと思いました。
試験日の移動なども加味した症例づけなど、本当に周りのサポートをありがたく感じました。

たかが専門医試験、されど専門医試験。通過点ではありますが、やはり一つの区切りとなる目標の方も多いと思います。
国家試験以来の試験勉強、定期的に勉強していた頃より勉強の感覚も乏しく、時間も限られる状態でなかなかハードでしたが何とか乗り切る事ができました。

試験に向けて配慮してくださった方々、ご指導ならびにアドバイスを頂いた医局員のみなさまに感謝です。

写真は1人で乗れた新幹線の記念です。
同じ時期に受験した友人とご褒美何にするかを話していましたが、私にとってはもはや試験前後の誰にも邪魔されない時間がご褒美でした。子供がいるといつも時間に追われていたり、常に誰かを気にしていますが、1人で動く時間は勉強にも集中出来ました。

以上専門医試験の振り返りでした。