医局員日記

当院で人工心肺セミナーが開催されました



こんにちは、専攻医Kです。

女子医大麻酔科では、今年度ハンズオンセミナーを3回行っています。
第1回 DAM講習会
第2回 神経ブロックのための解剖セミナー
に引き続き第3回となる今回は人工心肺ハンズオンセミナーが開催されたので内容を少しご紹介します。
 
本セミナーは人工心肺や心臓麻酔に関する講義と、実際に人工心肺を操作するハンズオンで構成されました。
 
講義編では心臓麻酔チーム(TCAT)の先生方が循環生理、体外循環のためのTEE、血液凝固について解説してくださりました。
また臨床工学士の加藤さんが人工心肺について、その具体的な構成、背景となる物理法則、体外循環の目標、自己血回収装置などについて合計3時間にわたり講義してくださりました。
(TCATの山本先生と加藤さんは朝まで解離をやっていたらしく、本当にお疲れ様でした😢)
 
ハンズオン編では、シミュレーターを用いて、実際の心臓手術の流れに即して人工心肺を体験することができました。
 
  • ポンプに乗るまで
実際に送血管を触るとAortaの拍動を触れることができました。この拍動が触れなければ送血管の先あたりを考慮する必要があります。人工肺前後の圧を確認し、遠心ポンプから血液が逆流してこないことを確認し送血スタートです。
脱血管を徐々に開いていき、リザーバーを見ながら遠心ポンプの回転数を上昇させてtotal flowを目指していきます。この時リザーバー内の血液が無くならないように送脱血を調整するのが非常に難しかったです。(例えばリザーバーに1Lの血液が残っていたとしても、脱血不良で4L/minで送血し続ければ15秒で空になります。)この間、実際にはモニターや術野も見なければならない、送血管・脱血管のトラブルに対処しなければならないのですから、いかに難しいことをしているのかわかりました。
 
  • ポンプからの離脱
脱血管を徐々に閉めていき、それに合わせて遠心ポンプの回転数も減らしていきます。リザーバーの量にばかり目が行ってしまい、肝心のモニター(CVP, PAP, ABPなど)は全然見ておらず、送脱血を減らしてきった頃に初めてモニターに気づくありさまでした。実際の心臓手術では様々な要因でweaningが上手くいかないので、難しい判断・操作を瞬時に行っているのだなと驚嘆しました。
 
僕たちが体験した人工心肺の操作はこれだけでしたが、実際にはMEさんたちはより複雑な操作をいとも簡単にやっていることがわかりました。
 
また日常の診療で生じる様々な疑問を投げることができ、貴重な時間を過ごすことができました。MEさんたちがどのようなことを考えているのか、麻酔科に何が求められているのかがわかり、大変勉強になりました。
 
女子医大麻酔科では今後、経食道心エコーや心臓wet laboのハンズオンを予定しています。このようなセミナーに院内で気軽に参加できることをとてもありがたく感じております。
 
最後になりましたが、このような貴重なセミナーを開催してくださった、長坂教授、野村教授、黒川准教授、臨床工学士加藤さん、吉本さん、TCATの先生方に感謝いたします。ありがとうございました。